最後まで残っていた理由

16年働いていた会社。
もちろん働き出した当初は知り合いもいなくて一人寂しいものだった。
その前まではバイトしかしたことがなく、社員になることなんて想像もしていなかったんだ。
入社当初同い年の社員が多くいて、だんだんと僕も仲良くなっていった。
その中で、今でもよく会う仲間が男女含めて4人いる。
同い年もいれば、年下もいて、皆同じ会社で働いていたのだ。

4人はもう既に辞めている。中には10年前に辞めた人もいる。
何を思って会社を辞めたのか?聞いたこともあるし、飲む席で話題になったこともある。
僕が辞めなかったのは、やはり優遇の一言だった。
ただ、会社を辞めた後に聞いた事実を知った後では、あまり優遇でもなかったのかもしれない。

バイトしかしたこともなく、そのバイトと言っても水商売。
そんな経験から、ちょっとでも、他の人よりも給料が高ければ満足だったんだと思う。
毎年上がっていき,他に行こうとは思わないではないか。

それに、僕が理想としていた、僕が創り出す空間が手に入ったのだから。
僕の思う部署の姿。僕がその部署のTOPに選ばれる事。
僕がその部署に所属する人物を選ぶ事。
それを簡単にその会社は僕にくれた。

選んだ以上、貰った以上、僕はその場所や彼らを捨てて辞める事など出来ないと
きっとその会社は知っていたのだろう。うん、知っていたのだ。
交換条件に僕は辞める事を辞めたのだ。

それが僕が辞めずに残っていた理由。
先に辞めた4人に聞いてみよう。
辞めてすぐ何を思って、どう進んだのかを。

皆いい辞め方をしたのだろうか。
きっと僕が一番良い辞め方をしたのだろう。
今でも僕をとても気にかけてくれるのだから。

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