悪夢

ここ数日、体調があまり良くなく、不整脈も出ていたので、怒りや感情の変化など過敏に反応してしまう。

東京に出てきて、いつからか、僕は悪夢を見るようになっていた。
心身ともに疲れていたのだろうか。
金縛りや人影を見たり、大きな音が聞こえたり、それは寝ている時に起こっていた現象だった。
目覚めると息が苦しく、心臓が口から出るくらいに激しく鼓動し、心臓が痛いくらいに苦しい状態。
それが僕の悪夢。

一番の悪夢は、寝ている部屋の中で、寝ている僕の視覚の中に、死んでいった人が出てくる。
僕は錯覚する。死んでいなくて生きているんだと、その出てきた人に聞く。
その人は何も話さない。そして、僕の方へと近づいてくる。恐怖をまとって。
そして、僕は叫んだり、手を振り払ったりして目覚めるのだ。
もうその時は心臓は痛いくらいに、とても速く鼓動しているのだ。

僕は目覚めた時に思う。心臓発作でいつかはこの悪夢から目覚めずにこの世を去るのではないかと。

ただ、16年前にルナが家に来てから、この悪夢は収まった。
金縛りにかかることもなければ、死んでいった人が怖ろしく夢には出ては来ない。
猫は、悪夢から守ってくれると聞いたことがある。

それが、1年半前ルナは亡くなった。
その後、また僕は悪夢を見ていた。
叫んで目覚める時もある。腕を振り払いベッドの角に腕を打ち付けて目覚める事もある。
目覚めたらまた僕の心臓は痛いのだ。

年に何度かは、不整脈が出ることがあった。
でもその時は、ものの数分で収まっていたのに。
数日前、2日ほど不整脈が続いた。そんなときに悪夢を見たら僕はどうなるのだろう。

ルナの葬式の時に、小さな遺骨をロケットに入れてもらった。
そのロケットは僕の一番のお守りとしていつも持ち歩いている。
寝る時にそのロケットを握りしめて寝ている。
ルナが側に居て、悪夢から守ってくれていると思えるからだ。

これが僕の見る悪夢だ。
この悪夢を見ないようにならないのだろうか。

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ペット

以前、今の家に住むまでお世話になっていた家があった。

当時、その家で飼っていた猫が何日も戻らなかった。だがその人は探しもせず、死んだのだろうと言っていた。

僕なら、気が狂いそうになりそうな出来事なのに。

そして、最近その家でもう一匹飼っていた猫が亡くなった。
一年前に体調が悪くなり持ち直し元気になったのだが、今年の夏また体調が悪くなったのだ。
医者は、もうだめだとの判断だったらしい。
おばさんは沖縄の実家に帰ってしまったが、その猫は娘夫婦が世話をしていた。
平日は仕事に行き、誰も家にはいない。
そんな状態だから仕方がないのだろうけど、安楽死させたのだと。
ペットの命とは、その人達からすれば物と同じ。

僕はその話を聞いて信じられなかった。
例え死ぬと分かっていても最後まで生を全うさせてあげようと思わなかったのだろうか。

僕は僕が飼っていた猫ではないが、その話を聞いて心が痛くなる。
犬や猫、飼ったなら最後まで面倒を見ようよ。
最後まで生を全うさせてあげようよ。
同じ地球上に住む生き物なのだから。
人間が勝手に生死を決めるのは間違ってはいないのだろうか。
命って人間により天秤にかけられるのは間違いだ。

震災後、僕は特にそう思う。人間以外の被災者が憐れでならない。

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僕は犬より猫が好き。
ずっとくっついて離れないのより、ある程度距離があって、甘える時は甘える方がいい。
あと、犬はうるさい。

今までに、2匹ルナとアヤを飼った。
飼ったというより、一緒に過ごした。そう家族だった。
7年前アヤが亡くなり、昨年ルナが亡くなった。
僕は猫は好きだけど、もう生涯飼う事はない。
普通、子供が死んだら、代わりの子供を連れてくる事がないように、
ルナとアヤの代わりなどいないからだ。
フェイバリットだがフェイバリットではない。
複雑なフェイバリット。

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