一人

以前、僕が社員として勤めていた会社で、知り合った人達がいる。
僕と同年代だったり、少し年下だったり。
一緒に働いていた時代から、飲みに行ったりして、仲良くやっていた人達である。

当初からだと、既に辞めて行った人達であり、バラバラになった人達である。

何が影響したのか、何が合ったのか分からないが、今は彼らの誕生日には皆で集まる仲になっている人達である。

僕は元々人に合わせる事が苦手な人種だった。
そんな人種が、独立し会社を経営し、社員を養っているのだから不思議なものだ。

当時は、初対面なんて以ての外。
出来るなら会社外とは話したくないのが現実だった。

それが今や社長とは驚きだろうか。

そんな僕が友人と呼べる誰かを見つけるのは一苦労なのだ。
束縛を嫌い、馴れ合いを嫌い、一人が好きな僕だったのに。かつては。

いつからか、きっと僕は変わったのだ。
以前の会社で、制作のトップとして任された時だったか、
僕が社長として独立した時だったか。

人見知りで、自己中で鎖国的な経営者はあり得ない。
いつの日か僕は気付いたのだろう。
そうだった僕の事を。

いつの日だったかに改めたのだろう。
僕は知らないうちに。

一人は淋しいものだ。
友達や社員がいなければ成り立たない現実もあるだろう。

何でもそうだが、一人では何も出来ないんだよ。
出来ているのは一人ではないのだと知る事だ。

一人で出来たと思っている幻想は早く覚めた方がいい。
この世に一人でなんて、誰一人としていない。
神と間違えるなかれ。
数十億の一人のくせに。

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