プログラマーの孤独

以前働いていた会社では、最初、広告代理店で雑誌や新聞に広告を載せる原稿を作っていた。
その後、WEB制作を行うようになったのだが、当時からWEB制作会社は多く、僕らのように経験のないものは新しい依頼など頼まれる事もなく、会社のお客様がつきあいで依頼するという風な内容の仕事を行っていた。

当時から、自動でWEBページを作れるソフトが多くあり、素人でも作れてしまう。
そんな中、何を武器に僕らはWEB制作を行っていこうかを迷っていた時期があった。

そこで始めたプログラムという作業。
何も分からず、何をしていいのか全く考えられない。
でも、プログラムが出来ればきっと道が開くと信じ、僕はプログラムを勉強することを決意した。

別に、当時WEB制作をしなくても会社は成り立っていて、
結構僕がやり始めたばかりに、社員の対応が僕に対して悪くなってきた。
本当に出来るのか。。言わずともわかってしまう社員の態度は僕をもっと孤独にさせる。
強迫観念が僕を襲い、これが出来なきゃ終わりというばかりに、僕の心に閉じこもる事もあった。

誰にも助けられない。
僕以外は誰も何も理解できないからだ。僕だって理解できないのに、やったこともない社員の皆が分かるはずなんてない。
出来るまで何度も何度もコードを書く。
白紙のドキュメントに、何十行、何百行、何千行。。。
それを数百ファイル作る時もあった。
そう僕一人で、延々とコードを書き続ける。
書いたコードを誰も確認できない。
誰も助けてくれない場所へ僕は進んでしまったんだ。
後戻りは出来た。だが僕はしなかった。
僕は今まで決めた事を投げ出す事など、恥だと思って絶対にあきらめる事はしなかったのだから。
プライドや自己満足や自己中心的な考えや、周りの視線や評価や、出来ない事へのストレスなど、そんなものと孤独に戦っていた。

出来なかった時点で僕の才能はそこまで。
僕はもっと出来る人間だと思ってきた以上、そんなところで終わるはずがない。
そう生きている意味もない。
僕もそう、他人からもそう。 才能がないなどと思われたくもない。

僕はずっと、そう思いながら、孤独にコードを書き続けている。
完成したコードは、相当な感動なのだ。

独立してからも、僕はコードを書き続けている。
まだ僕しかプログラマーはいないからだ。
辛くても、頭が痛くなっても、コードを何度か失敗し始めから書くことがあっても、僕はあきらめずに書き続ける。
それが僕の武器だから。

プログラマーは孤独である。

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最後まで残っていた理由

16年働いていた会社。
もちろん働き出した当初は知り合いもいなくて一人寂しいものだった。
その前まではバイトしかしたことがなく、社員になることなんて想像もしていなかったんだ。
入社当初同い年の社員が多くいて、だんだんと僕も仲良くなっていった。
その中で、今でもよく会う仲間が男女含めて4人いる。
同い年もいれば、年下もいて、皆同じ会社で働いていたのだ。

4人はもう既に辞めている。中には10年前に辞めた人もいる。
何を思って会社を辞めたのか?聞いたこともあるし、飲む席で話題になったこともある。
僕が辞めなかったのは、やはり優遇の一言だった。
ただ、会社を辞めた後に聞いた事実を知った後では、あまり優遇でもなかったのかもしれない。

バイトしかしたこともなく、そのバイトと言っても水商売。
そんな経験から、ちょっとでも、他の人よりも給料が高ければ満足だったんだと思う。
毎年上がっていき,他に行こうとは思わないではないか。

それに、僕が理想としていた、僕が創り出す空間が手に入ったのだから。
僕の思う部署の姿。僕がその部署のTOPに選ばれる事。
僕がその部署に所属する人物を選ぶ事。
それを簡単にその会社は僕にくれた。

選んだ以上、貰った以上、僕はその場所や彼らを捨てて辞める事など出来ないと
きっとその会社は知っていたのだろう。うん、知っていたのだ。
交換条件に僕は辞める事を辞めたのだ。

それが僕が辞めずに残っていた理由。
先に辞めた4人に聞いてみよう。
辞めてすぐ何を思って、どう進んだのかを。

皆いい辞め方をしたのだろうか。
きっと僕が一番良い辞め方をしたのだろう。
今でも僕をとても気にかけてくれるのだから。

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七つの誓い

去年の1月1日にルナがなくなった。
病院に連れて行く車の中で、呼吸困難に陥って。そう、僕の判断ミスで。
その前日の12月31日。
僕はなぜかもうルナは駄目かもしれないと思ったんだ。
病院ではこのまま治療を続けていけば徐々に良くなってくると言われていたが、
なぜだか駄目な気がしたのだ。

いきなり急変してこの世から去られたら僕は二度と立ち上がれない。
だからルナにお別れを言った。
15年の間ずっと一緒にいてくれてありがとうと。
そう今までの感謝を言葉にしてルナに聞かせた。

もちろん、このまま元気になってほしかったから、僕は七つの誓いを神に祈った。
この七つの誓い、一つでも守れなければルナは死んでしまうだろう。
本当に心から祈っていたのだ。

誓い1 たばこをやめる
誓い2 ルナを今まで以上に可愛がる。その前に亡くなったアヤにも気をつかう。
誓い3 ルナが安心できるように早く結婚し、子供をつくり幸せな家庭を築く。
誓い4 ゲームはほどほどにし、読書をし知識を上げ心を強くし、体を鍛え直し強くなる。
誓い5 今まで以上に仕事を頑張り結果を残す。
誓い6 僕の部署の彼らを裏切らずに面倒を見る。全員は駄目でも何人かは。
誓い7 買った家を手放さない。この家は、ルナとアヤの帰ってくる場所なのだから。

この誓いはルナとの約束。
ルナが亡くなってもこの約束だけは守るのだ。
絶対に破る事はない。

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僕が独立した理由 ③

今より1年半以上前にさかのぼる。

まだ、ルナも元気だった一昨年の11月。不景気と業績の悪化で社の人員を減らすこととなった。

僕は一人呼ばれ話を聞いた。

元々、僕は僕の部署から誰かを辞めさせるのであれば僕が辞める決意をしていた。
僕が部署のTOPである以上、僕以下のものは誰一人欠けてはならない。
なのにどうしても辞めさせざるおえないのだと。
業績悪化、仕方のない事だが、僕が辞めると言ったが承諾されなかった。

僕では駄目なのだ。僕以外のものを選ばないと駄目なのか?
なぜに僕では駄目なんだろうか。
僕が部署を任されているほどだからなのか?
それとも僕のスキルか、将来性か?はたまた性格が気に入られているのか・・・。
別にとどめる事など出来ない。すぐにでも無理にでも辞められたけど。。。

僕の中での判断は、そんな甘えた判断材料なら納得できない。
僕ですら、給料も上がらず、きっとこのまま生きていく事がほぼ決まっていた。
だったら、多少他より貰っている僕の給料を分けて、下の者に払えばいいではないか。
そうしたら、少しでも努力し頑張ろうと思うのではないか。

どうしても僕を辞めさせてくれない会社とは何?
逆に僕をとどめさせるものすらない。
僕は新しい事業をやると交換条件を出し、誰一人辞めさせる事などないようにしたのだ。
一昨年の11月。
そのときにもう僕は決めていたのかもしれない。
独立しようと。無謀ながらに、何もまだ決めていないにもかかわらずに。

ただ、当時僕を辞めさせず引き留めていたのは
僕がいなくなったら絶対に辞めさせたくない部下が辞めざるおえない状況にさらされるのが目に見えていた。
だから僕は辞めずに働いていたのだ。

僕がもし辞めても部下の給料が上がる保証などない。そう全くと言っていいほど。
だったら彼らを苦しめる状況にしてはいけない。
それが僕の辞めざる理由。
そう、すぐにでも辞めれる状態だったのに。

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人の価値

給料の金額によって、その人の価値がわかるのだろうか?
前会社では僕は他の人より優遇されていたとは言え、
この僕ですら納得いかない事があった。
辞めて記憶すら薄れていても今知ると腹立たしいものだ。
僕の4倍以上もらっている者はそれだけの価値があるのだろうか?
2倍でもそう。1.5倍でもそう。
僕より評価を高くするのは何だろうと当時は考えたものだ。
僕は無性に間違っていると認識していた。
もちろん訴えても僕の言葉は届かなかった。

この経験が僕の今を形成している。
まだまだ小さい僕らがだが、間違いはもう訴える事はない。
僕が決めていけるのだから。
逆に言われる筋合いはないのだから。

僕が思うに、価値のないものが僕より優遇されていたのは、とんでもない弱音を握られているか、何でも聞く奴隷かどちらかだろう。

僕ですら納得出来ないのに、他の者は何も発さないのかとつくづく思う。
スキルと自信と努力、実力それがあれば、会社にひれ伏す事はないのではないか。例え給料が低くても。

僕ら4人はそんな状況から抜け出て放り出された者だから。
僕らは何かに困らないぐらいに稼ぎ裕福になりたいものだ。
そうならなければ、何故に今こんなにも矛盾だらけが嫌であると主張するのか。
最低でも、社員の彼らには年齢と同じの給料は払いたいと思い続けているのだが、まだまだ頑張らなきゃとつくづく思う。
独立してもう4ヶ月なのか、まだ4ヶ月なのか。
早くもっと完全な僕らの武器を創り出さなければ。

もう過去の話だから、他社の事など本当にどうでもいいのだが。

 

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会社を辞めて良かった事

良かった事は数え切れない程ある。
やはり僕は誰かに抑えられていたのは好きではなかった。
誰かが作った会社のルールには収まりきれなかった。
不平や不満があったとしてもどうする事も出来ない。
おかしいと思っても変えられない。
ダメな人間にダメだという事も出来ない。
会社とは小さな小さな国だろう。
押さえつけるだけ押さえつけ続けるものだ。

だから僕は守り続けた。
その体制が気に入らなかったから。
どんなに頑張っても、古くからの頑張っていない者より上に行く事などできない場所なのだから。

今はそのしがらみは何もない。
自由で清々しい。頑張ろうと思える力がいつもある。

ただ僕が止まったらこの計画は終わってしまう。
走り続けなければ。振り返っても意味など何もない。
今は会社を辞めて良かったと思える。
諦めながら生きていたくはなかったから。

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僕が独立した理由 ②

やっと、一年たって話せるのである。当時は辛くて辛くて言えなかった。

僕は一年半前、最愛なるものを亡くした。
生まれて1ヶ月後に知り合いからもらった。
それから15年。僕は仕事が終われば急いで帰った。一刻でも早くに会いたかったからだ。
休みの日もずっと一緒に居た。そのせいで、ほとんど旅行にも行かず、里帰りも数える程しかしていない。
僕の分身、僕の命よりも大切な生命。猫のルナである。
本当の家族より僕は大切だった。誰よりも誰かよりも。この世の一番だったのだ。
おととしのクリスマスに具合が悪くなり、1週間会社を休み病院に通ったが、年が明けた1月1日の昼過ぎ、呼吸困難で亡くなった。僕の判断ミスで死に至ったのだ。

僕はこの世が終わった世界に居た。全てが色褪せて呼吸すら煩わしい。
笑顔をみると吐きそうになった。
生きているものが憎たらしいかったのだ。

「心配なら会社に連れてくれば」…お前は死ぬ寸前の子供を連れて来れるのか?「ペットは早く死ぬんだから。可愛がったと思えばいいじゃない。」…お前は自分の子供が同じような事になったら同じ事を言えるのか?
誰しもが同じように慰めた。ペットだから…。そう物のように。
「落ち着いたらまた飼えばいいじゃない。」…お前は子供が死んだら買ってくるのか?大馬鹿野郎が。
僕はペットだと思った言は一度もない。子供のように可愛がっていたんだ。
代わりを探そうなどもってのほか。この僕の気持ちを誰も分からないとは…残念である。失望した。

ある人が言った。
ルナは、僕と一緒に年を越すまで頑張ったんだと。
最後の1週間、ずっと一緒にいて、死に際に僕が隣にいた。
そして、この時期に亡くなったのは意味があるのだと。

この話の前に、独立の話が浮上した。

一人だけ僕を理解してくれた人がいた。
その一人と置いてはいけない二人を連れて、僕は独立をした。
これが僕が独立をした理由だ。

もしも、ルナがまだ生きていたら独立する事はなかったのだ。
何年後かに亡くなっていたなら、もう僕が独立する機会は過ぎていたのだから。
これは僕の運命である。

 

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僕が独立した理由 ①

僕には僕でしか出来ない事があるんだと思っていた。
それはどこかに属して成し遂げられるものではないと思っていた。
属している間は、僕は僕を抑え続けていなければならないと思っていた。

僕はずっと安定を求めていた。
誰しも、この世の半数以上が思う事だろう、安定した生活。
それさえあればべつに何を望む事なく平凡に生きていける。
それが無難だし、一番に幸せなのであろう。
僕もその安定を望んでいたのに。

なのにその安定を捨て、僕は独立をした。
僕は後悔などしていない。
一度しかない人生。
なぜに僕の思い通りに生きれないのか。
僕はずっとずっと考えていた。
普通に生きる事がきっと僕には窮屈だったんだろう。
嫌いな誰かに自分を押し殺す生活など飽き飽きしてたんだ。
そんな人生なら僕はいらない。
だから僕は僕の人生を歩きたかった。

人は死ぬ。
絶対に死ぬ。
僕は僕としてやり遂げて死にたいのだ。
だから、誰かの雇われで終わりたくはない。
僕である証を、僕しかできない想いを、生きているこの世界で挑戦したい。

独立して思えた事がある。僕は今生きている世界を愛している。
それが僕の独立した理由だ。

 

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3ヶ月

3ヶ月前の15日、僕は16年働いた会社を辞めた。
僕はその会社に骨を埋める覚悟で働いていた。
だが、辞める一年前に最愛のペットを失い仕事への情熱が無くなり、それにも増して不景気からのボーナスの大幅減。
会社でも一番に嫌っていた古巣の社員の横暴な行動、経営悪化による首切り。
僕の嫌う方向へ全てが進んで行った。
そして極めつけの僕の部署から一人辞めさせろとの一言。

会社の経営者は僕を良くは知らなかったのだろう。
僕がそう簡単に首にする人物を決められると思っていたのだろうか?
僕はその時に決めたんだ。僕が辞める事を。
そしてその会社は僕を手放す事となったのだ。
子会社や分社いろんな噂がたったが、完全なる退職である。

諦めていた僕の理想に進み出す道がその時に見えたんだ。
僕の理想。それは2年ほど前に、この会社に骨を埋めると決めた時に忘れたはずだったのに。
一緒にその会社を辞めた3人は、僕はこの先裏切る事は出来ない。
こんな僕についてきてくれた3人なのだから。
彼らを守る事は僕の仁義である。仁義を全うする以上僕は裏切らない。
だから、彼らにももっと大志を抱いてほしい。
とてつもなく大きくて偉大なる大志を。

だから頑張るんだよ僕は。
時間を惜しみながら、しんどくても頑張ったら絶対にいい結果が待ってるんだろうと思ってるんだ。
まずは前の会社を超えるくらいの業績が目標だ。
そういう会社に僕は絶対にするんだと、決めたから辞めたのだ。
僕は諦めない。それが僕の人生であるから。

 

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